top of page
検索
  • Michihisa KOYAMA

世界の水素製造コスト目標

 日本は、2009年に家庭用燃料電池、2014年に燃料電池自動車の一般市販化を世界に先駆けて実現し、水素戦略などの策定も先導してきました。2017年に策定された水素基本戦略の中では、2030年の水素製造コスト目標を30円/Nm3(330円/kg)と早期に定めてきました。そのため、水素に関しては世界をリードする国と認識されてきました。しかし、カーボンニュートラルに向けた動きが世界中で先鋭化する中、その位置づけも様々な側面から危うくなろうとしています。

 水素の製造コスト目標に関して、動きがあったのが2021年でした。トランプ政権下の米国は低炭素化やカーボンニュートラルに向けた政策が希薄で、カリフォルニア州のみがモビリティの電動化に向けて高い存在感を示すのみと言えました。しかし2021年1月のバイデン政権の発足から半年もたたない2021年6月、10年以内に1ドル/kgでの水素製造を実現するとのHydrogen Shotが公表されました。11月には、インフラ法案が成立し、水素インフラについても長期的に巨額の予算措置をすることが定められました。ここに、水素に関して世界でもっとも意欲的な目標を設定し、巨額の資金を投入する国と位置付けられるようになったと言えます。欧州連合はもともと、カーボンニュートラルに向けた動向では世界を先導する立ち位置で、積極的な目標設定や制度設計をしてきました。水素製造のコストに関しては、2021年11月に、2030年のコスト目標を1.8ユーロ/kg以下と設定しました。

 中国の水素関連技術も極めて低廉なコストでの調達が可能で、日本も早期に低コスト化目標を刷新し、世界に伍して戦っていくための戦略を定めることが重要だと言えます。

閲覧数:68回0件のコメント

最新記事

すべて表示

節電2.0

2022年の夏は、7年ぶりに節電要請が出されると話題になっています。節電という言葉が生まれたのは、2011年の東日本大震災に伴う原発事故で電力不足が話題となった時でした。それまでは「省エネ」という概念でしたが、ピーク時の電力が不足するのに対応して電力使用を抑制するということを意味する言葉として使われるようになりました(参考1、2)。 当時の節電と2022年の節電、これからの節電は異なる点があります

グリーン水素・サーキュラーエコノミー2021

2021年は、脱炭素に向けたグリーン水素やサーキュラーエコノミーに関連した発信が続きました。2022年も加速していきますので、よろしくお願いいたします。 2021.3.24 【寄稿】日本の脱炭素投資2兆円は少な過ぎ、せめて集中投資戦略を明確に、日経xTech 2021.7.7 【依頼講演】再生可能エネルギーが主力電源となる再生エネ4.0時代における蓄エネルギー技術、日本学術振興会シリコン超集積シス

グリーン水素の低コスト化

最近、水素に様々な色が付けれら始めています。 水素は二次エネルギーで、それ自体でCO2を排出しなかったとしても一次エネルギーから水素を製造する段階でCO2を排出しては意味がなく、一次エネルギーを識別する意味で色がつけられはじめています。これは、電気は二次エネルギーで、それ自体でCO2を排出しなかったとしても一次エネルギーに化石資源を使ってはCO2を排出していまうことと同じですね。再生可能エネルギー

bottom of page