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  • Michihisa KOYAMA

高い原子力と火力、安価な再エネ

 「国内の再生可能エネルギーは高い?」の記事で示した下記の図、様々な示唆があります。今回、エネルギーを考える上でのパラダイムについて整理してみます。

 パリ協定の目標である2030年温室効果ガス26%削減や第5次エネルギー基本計画における基本的な考え方は、「安定で低コストな原子力をベースロード電源として活用し、CO2は排出するが需要に合わせた柔軟な発電が可能な火力発電で需給調整し、高いが環境にやさしい再生可能エネルギーを可能な限り増やしていくことがベストミックスである」というものだと言ってよいでしょう。

 震災後のエネルギーはS+3Eで議論されますが、例えば、パリ協定の約束草案公表の前年となる2014年の状況を整理してみると下記のようになります。安全性に疑問の残る原子力発電は再稼働は進まないが、3Eの観点からは優れた選択肢と言ってよいでしょう。石炭火力は環境適合に課題がありLNG火力は石炭火力よりは温室効果ガスの排出原単位は低い選択肢です。安全性や環境適合、安定供給にまったく問題のない太陽光発電は、経済効率の観点からは最も劣った選択肢でした。

 では、私たちが考えなくてはいけない2030年や2050年はどのようなパラダイムのもとでエネルギーを考える必要があるでしょうか?2030年のコスト見通しからは、下記のような状況になることが想定されます。

 安全対策費がかさむ原子力発電は経済効率が低下します。火力について、脱炭素化が進めば燃料である化石資源の価格が低下することも想定できますし、旧来通りに化石資源の価格は上昇すると想定することもできますが、ここでは状況は変わらないとしました。太陽光発電については、2030年には5円/kWh程度までコストが低下すると想定されていますので、S+3Eのすべての観点で優れた選択肢となっているはずです。

 「 原子力をベースロード、負荷変動を火力で担い、可能な限り再生可能エネルギーを導入するベストミックス」という従来のパラダイムは、どのようになっているでしょうか?思い描く姿により様々あり得ますが、例えば、「出力が不安定な再生可能エネルギーを中心に据え、蓄エネルギー技術を最大限に活用し、再生可能エネルギーで賄えない分を原子力とCCS付の火力でまかなう」という姿もあるでしょう。

 このパラダイムのもとでエネルギーのあり方を考える場合と、現在のエネルギーシステムを前提に将来のあり方を考える場合とで、将来の社会のあり方やそこへの到達の道のりは全く違ってくることでしょう。

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