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  • Michihisa KOYAMA

原子力のこれまでとこれから~国内編~

更新日:6月16日

日本における商用原子力発電は、アイゼンハワー大統領によるatoms for peaceの演説から10年後となる1963年に開始された。エネルギー白書などによれば、これまでの国内の発電容量と発電量の実績値は下記の通りだ。

 世界における原子力の導入と同様、石油ショックのあった70年代に導入が大幅に拡大してきた。今世紀に入り、導入の伸びは落ち着いたものの、純国産のエネルギー源であり温室効果ガス排出削減の本命として位置付けられていた2011年に福島原子力発電所の事故が発生した。

 福島原発事故後、高い安全基準を満たすことが再稼働の条件となり、安全対策に対する投資回収が困難であったり不透明と判断された老朽発電所の廃炉が始まったのが2015年のことである。

 発電量は、発電容量に比して伸びてきたが、震災後は、再稼働ができず、稼働率は極めて低い。このことは、原子力の将来のコストに大きな影となっている。稼働率が低ければ、発電設備の償却コストが反比例して高くなることは自明だ。加えて、発電コスト検証ワーキンググループなどをはじめとするコスト推算においては、原子力の燃料に関連する費用としてフロントエンド・バックエンドを含む核燃料サイクルのコストが含まれている。燃料を貯蔵したり再処理したりする設備費も、当然のことながら稼働率に反比例して高くなる。

 2050年の脱炭素に向けて、原子力発電の役割はどうなるだろうか。下図には、今後見通される発電容量と発電量の推算例を示す。

 今後、原子力発電所の新設がないことを前提にすると、原子力発電所の寿命である40年の経過とともに、廃炉が決定されていくことになるため、2050年には原子力発電所はゼロとなる。一歩言う、40年の経年後も原子炉が良好な状態を保っているのであれば寿命を60年に延伸してもよいのではないかとの議論がある。2021年2月、福井県高浜町の町長が運転開始から40年を超える高浜原発1、2号機の再稼働に同意することを表明した。すべての原子炉の寿命が60年となった場合の発電容量の推移も上図には示している。現実はこの中間になるだろう。再稼働した原子力発電所の稼働率が震災前と同程度になれば、上図右のような発電が期待される。

 ところで、原子力発電が増えることはないのだろうか?震災時点で建設中または計画中だった原子力発電所が建設されるかどうか、が現実的なラインではないだろうか。福島第一の7号機、8号機は計画中止となったため、東通2号機(138.5万kW)、浪江小高(82.5万kW)、浜岡6号機(138万kW)島根3号機(137.3万kW)、上関1・2号機(それぞれ137.3万kW)が該当する。

 一定の寄与は有するものの、2050年日本の脱炭素の主力として期待することはできない。

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