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  • Michihisa KOYAMA

サーキュラーエコノミーと価値創造

 サーキュラーエコノミー、資本主義史上最大の革命、として巷間をにぎわせています。

 様々な視点があり、定義も定まっているような、いないような、と思われる方も多いのではないでしょうか。サーキュラー=循環の視点で、国内では環境省が地域循環共生圏の方針を打ち出しています。これまでの発想では、循環をさせる=理念としてはよいが高コスト化につながる、となってしまいがちです。そのため、無駄を省く、との視点が出てくるのは自然です。アクセンチュアの提唱する「4つの無駄」を省くとの視点は、なるほど、とうなずいた方も多いのではないでしょうか。4つの無駄は、


1. 資源の無駄:化石燃料やリサイクルできない素材を使っている

2. キャパシティの無駄:十分に利用されていない

3. ライフサイクルの無駄:耐用年数が過ぎる前に利用されなくなっている

4. 潜在価値の無駄:廃棄製品から回収ができずリサイクルができない


とされていますね。

 X-Scientiaでは、この視点には異論を唱えるべき点がないことが要注意ではないかと思っています。一つ、根本に立ち返って考えてみましょう。

 まず、サーキュラーエコノミーが資本主義史上最大の革命ということは、資本主義が始まった時点での資本主義を「資本主義1.0」ととらえたときに、サーキュラーエコノミーによって「資本主義2.0」が実現されるのであって、これまでに私たちが取り組んでいた3R(Reduce、Reuse、Recycele)は、例えば「資本主義1.1」だということを意味します。この目線で4つの無駄を見直してみた時に、どのような印象を持つでしょうか?3Rの延長線上にあると見ることもできるでしょう。

 X-Scientiaでは、サーキュラーエコノミーの本質は、外部性の内部化にあると見ています。外部性内部化については、ググったり、例えばWikipediaを眺めていただくとよいと思いますが、端的に言えば、従来の資本主義経済では顕わに取り扱ってこなかった価値を顕わに取り扱うことを意味します。環境負荷につながる温室効果ガスの排出を顕わに取り扱うマーケットが排出権取引であり、自動車排ガスなどの環境規制は、環境に悪影響を与えるという外部性を市場経済に内部化する例と言えます。

 外部性の内部化には、正の価値の内部化と負の価値の内部化があります。価値の内部化は、例えばエシカル消費や環境価値取引で、これまで、例えば倫理的な価値はあると思われてきた価値を市場での取引に取り込んだり、その価値そのものを取引する市場を産み出したりすることを指します。負の価値の内部化は、排ガス規制がよい例です。

 安かろう悪かろうという日本車は、排ガス規制で求められる高い目標を技術で乗り越えてくることで、世界に関たる位置を築いてきたと言えます。無駄を省くという視点は、負の価値の内部化にすぎません。正の価値の内部化をする視点で、市場を創造することができるとX-Scientiaでは考えています。

 2021年4月から始動したプラチナ構想ネットワークのサーキュラーエコノミーワーキンググループではその議論が始まっています。一緒に価値の創造に挑戦しませんか?

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